企業の認知拡大や商品販促を目的に、ホームページ制作を検討する方は少なくありません。できれば費用を抑えて自社サイトを完成させたいものですよね。その際に事業主の大きな味方となってくれるのが「補助金」の存在です。

2024年6月現在、ホームページ制作に適用される補助金にはどのようなものがあるのでしょうか。今回は補助金の種類と申請方法を解説します。補助金を賢く使ってホームページを制作する方法がきっと見つかるはずです。

2024年〜2025年に活用できる補助金は2種類

2024年6月時点で、ホームページ制作費用に適用される補助金は、「IT導入補助金」「事業再構築補助金」のふたつです。補助金と混同されがちなものとして「助成金」が挙げられますが、目的や管轄、財源など、異なる点が多いので、まったくの別物と考えましょう。

中小企業の活性化や技術開発を目的に設けられている補助金制度は経済産業省管轄で、支給金額の相場は数十万円~数百万円程度です。条件を満たせば誰でも受給できる助成金とは違い、補助金は通過率が6割程度で、審査が厳しく行われる傾向にあります。受給するためには各補助金の内容を理解し、万全の準備をしてから申請しましょう。

IT導入補助金

IT導入補助金は、中小企業や小規模事業者などの労働生産性の向上を目的に、業務効率化やDXに必要な ITツールの導入を支援する補助金です。ITツールとしてはソフトウェアやクラウドサービス、またITのサポート費用やホームページ制作費用も補助の対象となります。

補助対象者は製造業、サービス業、宿泊・娯楽業など、多様な業種の中小企業や小規模事業者です。また、商流一括インボイス対応類型であれば、中小企業・小規模事業者などと取引を行う大企業も申請できます。業種ごとによって資本金や従業員数の規定が異なるため、詳細は「IT導入補助金」の公式サイトから確認してください。

IT導入補助金

補助金額

IT導入補助金は、通常枠、インボイス枠(インボイス対応類型)、インボイス枠(電子取引類型)、セキュリティ対策推進枠、そして複数社連携IT導入類型の5種類に分かれています。それぞれの補助対象と補助率、補助額は以下の通りです。

事業類型 補助金額

補助率
通常枠 5万円~450万円 1/2以内
インボイス枠(インボイス対応類型) 10万円以下~350万円

事業規模・目的によって異なる

インボイス枠(電子取引類型) (下限なし)~350万円以下 中小2/3
その他1/2
セキュリティ対策推進枠 5万円以上100万円以下 1/2
複数社連携IT導入枠 10万円×グループ構成員数~3,000万円 事業規模・目的によって異なる

申請方法

中小企業・小規模事業者等とITベンダー・サービス事業者で、申請・手続きの内容は異なります。ここでは一般的な中小企業・小規模事業者等が行う申請方法について解説します。

「gBizIDプライム」アカウントの取得と「SECURITY ACTION」宣言の実施

補助金交付申請時には、「gBizIDプライム」アカウントと独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施する「SECURITY ACTION」の宣言が必須です。特にgBizIDプライムアカウントのIDは発行に約2週間を要するため、余裕を持って申請を行いましょう。

「みらデジ経営チェック」の実施

通常枠においては、「みらデジ」ポータルサイト内にてgBizIDで登録し、「経営チェック」の実施が必要となります。これを行わなければ不採択となってしまいますので、該当枠の方は必ず行いましょう。

IT導入支援事業者の選定とITツールの選択

補助金の申請は、IT導入支援事業者との間で交付申請の事業計画を策定してから行います。その事前準備として、自社の業種や事業規模、経営課題を確認したうえで、IT導入支援事業者と導入したいITツールを選定しましょう。

交付申請

交付申請の事業計画を策定が完了したら、以下の流れで交付申請をしましょう。こちらは支援事業者ではなく、中小企業や小規模事業者自身が行わなければなりません。

  1. IT導入支援事業者から「申請マイページ」の招待を受け、代表者氏名等の申請者基本情報を入力する。
  2. 交付申請に必要となる情報入力・書類添付を行う。
  3. IT導入支援事業者にて、導入するITツール情報、事業計画値を入力する。
  4. 『申請マイページ』上で入力内容の最終確認後、申請に対する宣誓を行い事務局へ提出する。

交付決定

交付申請内容の審査が完了すると、交付決定通知がされ、申請者は補助事業者となって補助事業(ITツールの発注・契約・支払い等)を開始できるようになります。交付決定前にこれらの事業を行ってしまうと、補助金の交付を受けられないので注意しましょう。

事業実績報告

補助事業が完了したら、実際に補助事業を行ったことが分かる証憑を「申請マイページ」から提出します。IT導入支援事業者が内容の確認と必要情報の入力をしたら最終確認を済ませ、事務局に事業実績報告を提出しましょう。

補助金交付

事業実績報告が完了し、確定した補助金額は「申請マイページ」にて確認できます。確認後、補助金が交付されます。

事業実施効果報告

定められた期限内に補助事業者は「申請マイページ」より必要事項を入力し、IT導入支援事業者の確認を経て提出します。ここまで進めて、ようやく完了です。

事業再構築補助金

コロナ対策として誕生した事業再構築補助金は、コロナ禍が収束しつつある現在、当初より予算額が減少しており、審査も厳しくなっています。支援類型には「成長分野進出枠(通常類型)」「成長分野進出枠(GX進出類型)」「コロナ回復加速化枠(通常類型)」「コロナ回復加速化枠(最低賃金類型)」「サプライチェーン強靱化枠」と多様で、受給するためには最低限以下の条件をクリアする必要があります。

① 経済産業省が示す「事業再構築指針」に沿った3~5年の事業計画書を作成し、認定経営革新等支援機関の確認を受けていること。

② 補助事業終了後3~5年で付加価値額を年率平均3.0%~5.0%(事業類型により異なる)以上増加させること。又は従業員一人当たり付加価値額を年率平均3.0%~5.0%(事業類型により異なる)以上増加させること。

この条件を満たしたうえで、業種ごとに決められている資本金の額や従業員数をクリアする必要があります。詳細は事業再構築支援金の公式サイトから確認しましょう。

事業再構築補助金

補助金額

受給できる金額は以下のようにタイプによって異なります。

事業類型 補助上限額
(※従業員30人の場合)
補助率
成長分野進出枠(通常類型) 3,000万円(※4,000万円)
(一部廃業を伴う場合2,000万円上乗せ)
※短期に大規模な賃上げを行う場合
中小1/2(※2/3)
中堅1/3(※1/2)
※短期に大規模な
賃上げを行う場合
成長分野進出枠(GX進出類型) 中小:5,000万円(※6,000万円)
中堅:1億円(※1.5億円)
※短期に大規模な賃上げを行う場合
中小1/2(※2/3)
中堅1/3(※1/2)
※短期に大規模な
賃上げを行う場合
コロナ回復加速化枠(通常類型) 2,000万円 中小2/3
中堅1/2
コロナ回復加速化枠(最低賃金類型) 1,500万円 中小3/4(※2/3)
中堅2/3(※1/2)
※コロナで抱えた債務の借り
換えを行っていない者の場合
サプライチェーン強靱化枠 3億円(※5億円)
※建物費を含む場合
中小1/2
中堅1/3

申請方法

事業再構築補助金の申請手続きは、主に5つの段階に分けられます。漏れや遅延がないように申請しましょう。

応募申請

まずは、採択されるための準備を進める必要があります。公募要領を確認して枠を決めたら、必要書類の準備に移りましょう。準備が整ったら電子申請システムで申請をします。

交付申請

採択されたら、補助金交付候補者が「事業再構築補助金」を受けるための交付申請を行います。提出した書類をもとに、補助対象経費として適切なものであるかどうかを事務局が精査します。応募申請時に計上した経費がすべて補助対象として認められるわけではないので注意しましょう。

補助事業実施・実績報告

交付審査を経て決定した内容をもとに、事業者は指示された期限までに、契約・申込、納品、検収、支払補助といった事業を実施します。補助事業が完了したら、その日から起算して30日を経過した日、または補助事業実施期間の終了日のいずれかの早い日までに、実績報告書やその証拠書類を提出します。

精算払請求

補助事業の確定検査を受け、補助金額が確定したら、精算払の請求を行います。精算払請求書を作成し、事務局が請求書類に不備がないことを確認したら、8営業日程度で補助金が振り込まれます。

事業化状況報告

全ての補助事業者は、補助事業の成果を全6回報告しなければなりません。報告する内容は下記のとおりです。

  1. 直近1年間の補助事業に係る事業化並びに付加価値額状況
  2. 補助事業に係る発明、考案等に関する特許権などの知的財産権を出願若しくは取得した場合
    又はそれを譲渡し、若しくは実施権を設定した場合には、当該知的財産権の取得状況

補助金の申請サポートや代行などは株式会社フルコンテンツにお任せください

今回はホームページ制作が対象となる補助金の概要を紹介しました。補助金の受給要件は細かく、申請方法は煩雑なものがほとんどです。ある程度の専門知識も必要となることから、IT導入支援事業者の協力が必要不可欠です。

株式会社フルコンテンツでは、スポットでのホームページ制作に限らず、補助金を活用した制作にも対応しています。補助金の活用をお考えの方、また申請方法でお困りの方はお気軽にご相談ください。